−−今年でフェイスの設立から14年目になるわけですが、根橋さんから見て、フェイスって今どんな会社だと思いますか?
自分たちが当初思い描いているものではないね。会社を立ち上げたときはリアルタイム字幕をやると思ってなかったし、どちらかというと、技術やソフトウェアの販売がメインで、システムやソフトウェアの開発部門が大きくなっていくというイメージをしてたな。だけど、2~3年目ぐらいから、お客さんからシステムは買うけどそれを運用する人がいないからちょっと助けてよと言われて。じゃあ、今までと同じやり方じゃ駄目だから、千葉県の松戸のようなベッドタウンでパートさんに入ってもらってとか、そういうふうに、その時その時のお客さんや世の中のニーズに応えながら進んできた。今はある程度リアルタイム字幕とか進んできたけど、AIとか、また新しいものが出てくる中で、今後はそれを生かした、何か新しいことをやっていくんだろうなって。そこは期待もしているし、創業当時のメンバーとはまた違った、若い人たちと新しいことにチャレンジしていきたいなっていうふうには、漠然とした言い方だけど思ってるかな。
−−なるほど。では、根橋さんが思うフェイスの強みって何ですか?
うちの強みは、まずみんながやっている制作技術だよね。字幕制作技術と、そのソフトウェアを開発できる技術、その両方があるというのが強み。次また新しいことをやってみようというときに、ソフトウェアの人たちや、常務も元々はハードの技術者だったわけで、そういう人たちの視点で新しいものやサービスを作っていけるというのは、他の制作会社や字幕制作ソフトを開発している会社とは違う強みだと思うな。
−−社長として働く上で大切にしていることはありますか。これだけは曲げないというか。
まずは会社を倒産させちゃいけないというか、それはすごく自分自身の中では意識してる。あとは仲間というか、一緒に働いてくれている人たちがいるので、この人たちを裏切らないようにしたいというのは、すごく自分の中では大切にしているかな。
−−社員との印象に残っているエピソードはありますか。
もちろんいっぱいあるよ。元々は完パケ字幕をやっていたから、いざリアルタイムをやるってなったときに、音声認識を使ってみようってテストをするんだけど、ある社員がカラオケボックスでずっと音声認識がどういう認識をするか調べていたんだ。会社でやるとうるさいって言われちゃうからってね(笑)。それで松戸のカラオケボックスに行って実験していたんだけど、カラオケボックスの店員さんからすると、歌も歌っていなくてずっとパソコンに向かってしゃべってる変な人が来てると思われましたっていうエピソードがあって。そういうことを繰り返して新しい事業ができたりしたから、そういう意味ではその社員には感謝してる。他にも初めの頃はテレビ局へ営業をするのにインサータなどのいろんな機材を車に積んでずっと局を回ったりしたことがあるんだけど、今となってはそれも面白い思い出になってるよ。あと、昔は365日毎日仕事があるわけじゃなかったから、みんなで旅行に行ったりとか、そういうイベントもあったかな。今はなかなか難しいけど。
−−会社を発展させていくために重視しているところは何ですか?
ソフトウェア開発や新卒採用など、「人への投資」かな。最近でいうと、松戸事務所に会議・休憩スペースが新設されたけど、ある意味、それも「人への投資」かもしれない。
−−では、会社についての話は一旦これで。今フェイスでは大阪、松戸、本社、テレビ局など、いろんな場所で社員が働いていると思うんですけど、フェイスで働いている人たちってどんな人が多いと思いますか?
真面目な人が多いという印象がすごくあるな。話をする機会があっても、素直で真面目な人が多いと自分は思ってる。
−−真面目な人を採ってきたという感じですかね、採用の中で。
そうだね、きっと誠実な人を選んできたんだろうね。あと最近、特にリアルタイム字幕が進んだ3~4年前ぐらいからは結構、人の役に立ちたいとか世の中の役に立ちたいと思っていて、その選択肢の一つとして、字幕が役に立つと認識して来てくれている人が多いのかなと思っているよ。もちろんそういう人が来てくれるのがうれしいというか、それで採用しているところはある。
−−面接するときにエントリーシートを見るだけではなくて、実際にいろいろ質問したり話したりすると思うんですが、どういうことを大切にしていますか?
自分はすごく「会話をすること」を重要視していて、その人たちが大学時代に打ち込んだこととかを自分なりにネットで調べて、面白いなって思ったことを話したりする。例えば、最近だと日本書紀とか古事記(を調べたり、学んだ)とかね。そうすると、自分が好きなことだった場合には本当に思っていることが出てくるし、頑張ってきたことへの熱い思いがすらすら出てくる。そういう人は何となく頭の回転も速いなとか、そういうところは見たりするかもね。
−−では、具体的にどういう人に来てほしいですか?
一生懸命というか、仕事に対して真面目に取り組んでくれる人。例えば、あなた(質問者)の場合は本質を見抜く。話していても物事に対して、ただそれをするというよりかは、その背景まで含めて考えてくれる人だと思う。そういう人は貴重だなと思う。他にも、自分だけじゃなくて周りの人を生かすとか、そういうことも考えてくれる人だったり。もちろんリスピークができるとか修正ができるとか、監督ができるというのはあるけど、これから先、うちが何か新しいことに挑戦するとか、効率的に物事を進めていこうというときに「本質を見抜ける人」がいないとそれはできないし、言われたことだけをやるというわけにはいかないから、そういう人たちを求めるかな。あとは、もしかしたらリスピークとか修正、監督がたとえ下手でも、皆のモチベーションを上げながら引っ張っていけるような人がいてくれたら、そういう人もありがたいし、それぞれ個性があっていいと思う。
−−なるほど。
結局、どういう人に来てもらうかっていうときに、テレビの字幕に興味を持ってくれたり、新しいことに挑戦してみたいなっていう人にこれからは来てもらいたいけど、それとは別に、周りのことを考えられる人とか、遅刻はあんまりしない方がいいとか、体調管理ができるというのもあるかもしれない。若い人たちがどこに興味を持ってくれるのか分からないから難しいけどね。嘘をつく必要はないというか、奇麗ごとばかり言っていても入ったあとに全然違うとなって、すぐ辞めちゃう人がいたら困るわけだから、少なくとも3年くらいはこの事業をやってみようと腰を落ち着ける人に来てほしいな。
−−営業をする中でたくさんの方と出会う機会もあったと思います。人と仲良くなるコツというか心掛けていることはありますか?
自分のことだけじゃなくて相手のことを考える。相手のことも、その会社の偉い人とかだけじゃなくて、いろんな担当者の人とか、いろんな人たちに対するリスペクトをちゃんと持って相手のことを考えられるというのが大切かな。うちだけ儲かっても駄目だし、社員全員が疲弊困憊(こんぱい)してっていうのも駄目だから、そのバランスを取るというか、そういうことはかなり意識しているところだね、コミュニケーションという意味ではね。あと、「相手の良いところを見よう」とするのは得意かも。相手の良いところを結構見られるタイプというか、嫌なところよりも良いところの方が見られるから、それはいいところかもしれないね。
−−なるほど。話は変わりますが、休みの日は何をしているんですか?
ソフトボール。
−−ソフトボール?今も続けているんですか?
今も続けてます!
−−休日のリフレッシュ方法は?
ソフトボール(即答)。(一同:笑)
家にいると、結局仕事のことを考えちゃうんだよね。そうなりすぎると息詰まっちゃうというか…。本を読んでいても、仕事のことが絡むとそっちに考えがいっちゃう。ソフトボールとか、体を動かしてるときは仕事を忘れられるから、そういう時間も必要なのかなって思う。
−−プライベートでは、どんなことにお金を使いますか?
人との付き合いに使うかな。友達と飲みに行ったり旅行に行ったり。家のローンは抜きにしてね(笑)。うちは子どもが2人いるんだけど、下の子が今年就職して、子どもたちにお金がかからなくなった。親としては、ほっとしてるね。子どもを育てるのってお金がかかるんだよ…。
−−今、子どもの話が出ましたけど、子育てしながら働くことに関してどうお考えですか?
…大変だよね。これからフェイスの社員もそうなってもらいたいけど、周りのサポートは必要だろうね。時短勤務を認めて、周りにも理解してもらうとか。どこに公平性を求めるかは、みんなで議論していかないといけないね。
−−そろそろ、用意した質問は出し尽くしたんですが…。
じゃあ、今までの話を聞いて、逆にどんな人がフェイスに向いていると思う?
−−うーん、飽きずにやれる人じゃないですかね。基本的にやることは変わらないので。その作業の中で、自分をどう保てるか、みたいな。ゴールがない分、そこで満足したら終わりなので。あとは、協力して作業を行うことも多いので、人付き合いができないとうまくいかないと思います。
なるほど。深いね。まさに、今いる社員みたいな人を求めたいよね。
−−そうですね。最後に、フェイスに興味を持っている人に対してのメッセージはありますか?
世の中の役に立つことに喜びを感じられる人、失敗してもいいから新しいものにどんどんチャレンジできる人が来てくれたらうれしいかな。
−−ありがとうございます。それでは、以上でインタビューを終了したいと思います。お疲れさまでした。
お疲れさまでした。